空気イスで月見 趣味ブログ

偏ってる系偏屈オタク 好きなものは好き

我々は船員となり、海となり、そして松明となった 2代目Pirates of the Frontier 東京公演感想

ヨーホー!

正確には松明になったんじゃなくて松明(ペンライト)を振ってただけなんだけど。

 

CAUTION! 

筆者は

2代目劇団シャイニング全肯定

若手俳優さんについては全く知識がない

人より少し舞台が好きだけどずぶの素人

ゲーム本編プレイ済みのうたプリファン

です。以上をご理解いただいた上、読み進めてください。また、筆者が参加した16日夜公演と21日昼公演の内容・状況に基づいた感想や考察がありますが、正確な情報である保証は全くできません。

物販や入場については公式サイトで最新情報を確認してください。

劇団シャイニング ポータルサイト

 

 

以下、シアターシャイニング『PIrates of the Frontier』

劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪『Pirates of the Frontier』とパンフレットのネタバレがあります。

 

 

 

 

 

 

めっちゃよかったです……

良くも悪くも、いや、悪いところもよかった。最高の二代目パイフロ。初代を踏まえて作ってくださっていることが伝わってきましたが、踏襲にとどまらずにオリキャラも含めてしっかりと2代目のカラーを押し出しているところが最高、脚本も演出もキャストの方々も。うたプリとは別物なんですけど、ちゃんと from うたの☆プリンスさまっ♪ で、うたプリファンが普段応援しているアイドル達が出演しているわけではないんだけど、うたプリワールドの中に存在している、みたいな。うまく言えない。とにかくよかった。

2回見に行ったので、キャストさんやスタッフさんの成長を感じられたのもよかったです。公演が終盤になればなるほど、演出効果とお芝居がかっちりはまっていて見ごたえがあったし、なによりキャストさんのお芝居や立ち回りが洗練されていくんですよね……成長速度早すぎでびっくりしたよ……すごすぎる。

入場した瞬間からもうそこは海!波の音が聞こえてきます。後方座席は特に臨場感がありました。いまから航海にでるんだよ!開演5分前くらいに海賊さん(アンサンブルさん)が挨拶に来てくれます。みんなで「ヨーホー!」「アイサー!キャプテン!」の練習をします。めっちゃ楽しいです。気のいい海賊さんたちなので手をふると応えてくれたり、喋ってくれたり、目を合わせてくれます。とにかく近い。とある回ではラム酒の作り方を解説してくれました。ひとつ賢くなれる。

いよいよ舞台が始まり……オープニングがあるのですが、これがすっごくいいんですよ。客席の上を波が通過し、アクションはすごいし映像もあるしキャラクター紹介もある。目が足りない。キャラ同士の関係性を出すために絡みのあるキャラ同士が、こう、動きます。たとえば白い悪魔にスミスが付き従ってたり、イッキとマルローが共闘したり。目が足りない。マルローが短剣を高く投げてキャッチしたり、失敗してイッキに拾ってもらったりする。かわいい。

 

ここからはキャラクター別に書いていきます。

 

 イッキ

圧倒的主人公。2代目イッキ役小澤廉さんは俳優好きの友人曰くとても人気な俳優さんだそうで……というか小澤さんに限らずキャストさん全員すごい方なんですね…出演してくださってありがとうございます。まず、これはすべてのキャラクターに言えることですが、ビジュアルが素晴らしかったです。公式サイトに上がっているお写真ももちろん素敵なのですが、舞台上で動いていると、あの真っ赤なコートが翻って本当にかっこいい。アクションシーンで振り向いたり跳んだりするたびにライトに映えて超カッコイイです。革靴を履いていらっしゃるので、歩くとまあまあ音がしたりするのがやばかった……。イッキが目の前で生きていました。イッキは太陽のように明るい仲間思いの魅力的な少年ですが、母を亡くし、自分を責め続けている人物でもあります。普段の振る舞いからはイッキの経験している苦しみは全く分からないですが、白い悪魔や父親と思われる人物と出会ったことで少しずつ流れ出していきます。キャプテンレッドに向かって母親が亡くなった時のことを語るシーンの演技、すごかったです。胸に迫ってくるよう。仲間を取るか、父親を取るかのシーンでの独白は圧巻。父親が見つかったと無理やり信じ込もうとするかなりネガティブな決意が、客席後方にいても目の前に見えるようで。このシーンの演技がとにかくすごいので、この後の白い悪魔がイッキに「目を覚めせ!」と叱責するシーンがすごく映えるんですよね……アドリブの楽しい演技はもちろんたくさんありました!放浪の海賊とのおしゃべりがほのぼのしていてかわいい。コイントスでコインを落としてしまって、慌てて手をかぶせてしゃがむのが本当にかわいかった。マルローとのやりとりも、親しい信頼する仲間に話しかけている感じがよかったです。マルローがイッキに近づいていってしまう気持ち、わかる。心理的にもそうだけど、物理的に距離が近づいていくの……イッキの陽だまりみたいな雰囲気、わかる。

 

マルロー

溢れ出る頼れるお兄ちゃん感。小波津亜廉さん、見た目が良すぎる。レビューコーナーで目の前を通過していく姿が2019年に生きる同じ人類とはとても思えなくて……。マルローの要素てんこもり衣装が似合う人、超しびれる。アクションすごかったです。走る姿がもうマルロー。1人だけ短剣でのアクションなので他の人と全然リーチが違って大変そうだなあと漠然と思った観劇前の自分、海に落としたい。拳とキックにすべてをのせる感じ、超しびれる。カッコいいどころの話ではない。演技はいわずもがなでした。マルローは過去に仲間に嵌められたことがあるので、やっとみつけた陽だまりのような居場所が大事で大事で仕方ないのに、その居場所がなくなりそうになった時に自分では動き出せない、みたいな葛藤をするシーンがあって。階段でうずくまってる姿すら……様になるじゃん……。白い悪魔が抱えているものを知ったり、放浪の海賊に背中を押されてイッキを取り戻しに行こうと決めた時は激アツでした。君はもうひとりじゃないね。マルローは信頼や友情について一番語っていてクサいセリフが多かったのですが、あの、はまってました。亜廉さん何者なんだ。俳優さんだ。かっこよかった。初代マルローからのまっすぐさはそのままに、過去回想や葛藤を丁寧に描いてくださっていて、マルローという人物を掘り下げてくださったのが嬉しすぎて筆者は泣いてしまいそうでした。ところで島に置き去りってえぐくないか。海賊怖い。お料理してました。フライパン叩きながらイッキと放浪の海賊を呼びに来るマルロー、ほぼお母さん。長い料理名を噛まずに言える。イッキと放浪の海賊は噛んでた。マルローはドヤ顔だった。かわいい。

 

白い悪魔カミュ

魔法使えそう(すっとぼけ)。菊池修司さんの立ち振る舞いがこれ以上ないほど優雅で、彼のいる場所だけ気温が低そうでした。床に這いつくばる姿すら美しいなんてことが実際にあるんですね。と思ったら2回目観に行ったときにはさらに動きが美しくなっていた。マジか。初代白い悪魔役のカミュ様が白い悪魔の衣装は重くて大変だった、みたいなことをおっしゃっていましたが、今回も見た感じ負けず劣らず豪華な衣装で、動くと、翻る……。衝撃波で観客は死ぬ。客席後方でのアクションシーンが好きでした。大きく動いているのに、洗練されていて美しい。もう一つ、彼の挙動で好きだったのが船室の大きなイスから下りる動作です。普通、大きいイスなので手をついてしまったりして、よっこいしょってなるじゃないですか。でも悪魔は格が違った。全くいい表現が思いつかなくてお詫びのしようもないのですが、少し上半身を前に倒して重心を前にずらしつつ組んでいた長い脚を軽々ほどいて地につけ、一気に立ち上がる、みたいな。擬態語にすると、スッ、フワッ。うーん。映像を確認してください。つって公式youtube と貼ろうと思っていたのですが、公式のダイジェスト動画にはどうやらこの場面はない。現場か円盤でご確認ください。白い悪魔は魔法が使えることで周囲から疎まれ、悪質な興味の対象にもなり、そもそも魔法が自分の体を蝕むので、とにかく強く在らなければならない状況で生きてきたし、強くあることを自分に課してきたのではと思っています。マルローに浴びせた「今のお前は自分の居場所すら自分で守れない。黙って従っていろ。」だとか、「失う前から失ったことを嘆くような奴と一緒にするな。」という言葉には、逆境に対して諦めていて、取り戻したいものがまだ手の届くところにあるのに手を伸ばそうとしないマルローへの怒りやいらだち、「まだ手が届く」ことへの一種の羨望みたいなものが込められている気がしていて。マルローもカミュもそれぞれ抱えているものはあるのにタイプが違いすぎて、認め合えても分かり合えないんですよね。そこがいいんですけど。厳しく生きてきた未熟なカミュに手を差し伸べてくれた赤い天使は彼にとってきっと神様みたいな人なんだろうな。キャプテンレッドを赤い天使だと信じ込もうとしているイッキを力強く諭す白い悪魔、語彙が凍るほど最高でした。悪魔は赤い天使と面識があるのに、「顔が違うから違う」って言ってもイッキは聞かないのを分かっていて、かける言葉が「お前の心に聞いてみろ」なの、大人。赤い天使ルーツの気高さを感じる。

 

オリジナルキャラクターの面々

ストーリーの核心から遠い順

スミス

こんなにいい執事を持ててカミュは幸せ者だと思いませんか。有事の際の作戦参謀を兼ねているので、戦闘シーンでそれっぽいセリフが出てきて楽しかったです。船員の教育係も兼ねていたり。船員の尻を叩いて姿勢を正す執事、いい。おそらく満場一致で最高なのはご主人様とのシーンです。日替わりパートでは、大きなウェディングケーキ型の箱からお菓子が出てきます。ご主人様の受け答えがあまりにもかわいいので現場か円盤でご確認を。だって毎回変わるから書ききれない。「カミュ様、サトウキビジュースのお時間です。」「存分に糖分をお取り下さい。」で笑いの起こる会場。個人的に爆推ししたい注目ポイントとしては、カミュが魔法を使ったダメージで苦しんでいる時で、観ている客の胸が締め付けられるような苦しい顔をするのです……。マルローに接近して遊ぶスミスさん愉快でした。

 

ミートマーケット・ジョー

名前直球すぎません?本人がこの名前で呼ばれることをめちゃくちゃ嫌がっててちょっと笑っちゃいました。まあそうだよね。名前も直球ですが、役もド直球の悪役で、それを全うしきっているところが推せたと観劇直後の自分が申して居る。ファーがたくさんついてて暑い衣装なのにアクションが激しいから臭くなっているかも、と心配する河原田さん。かわいい。キャプテンレッドいわくオッケー。二刀流のトップレベルに激しいアクションで、登場、ほぼイコールアクションシーン。キャプテンレッドが手の内を明かさないことにいらだつシーンの演技が16日と21日ではかなり変わっていました。16日は、冷淡な話し方で、21日はやるきのな~い話し方に変わっていました。どっちにしても、信頼なんてクソくらえだ!という彼自身のポリシーにそっていないセリフなので面白かったです。そのあとの「大事なところは一人で全部抱え込むってか……むかつくぜ!」と怒鳴るテンションとのジェットコースターが楽しい。要するにいい悪役。結末まで推せる。

 

キャプテンレッド

明らかに胡散臭い。何か他に書こうと思っていたのですが、申し訳ない、胡散臭い以外に浮かばない。影が薄いのでもストーリー上での役割が少ないとかでも全然ない。ただただひたすらに胡散臭い。銃を隠し持ったり、戦い方がセコイ。赤い天使のフリをやめた瞬間の豹変ぶりがすごかったです。ジョーとはまた違ったタイプで、ただひたすらに悪役でした。短くてごめんなさい。

 

放浪の海賊

普通の人なら公式サイトの時点で怪しいな、と思うのかもしれませんが、筆者はコミックレリーフだと信じて疑っていませんでした。勘が鈍すぎる。分かったうえで見ると、赤い天使に繋がる歌を歌えていたり、過去に捨てて後悔したものがあるといっていたり、イッキの母親が亡くなったことに食いついていたり、頑なに白い悪魔と会おうとしなかったり、怪しいでは済まない、ほぼ確定ですね。コイントスに決定を任せていたイッキに「余計なものぜーーーーんぶとっぱらって、自分の心に聞いてみな。」(曖昧)刺さる。背中を見せてくれてありがとう。16日公演ではそんなに感じなかったのですが、21日公演ではイッキと話していると親子にしか見えなくて困りました。顔が似ているわけではないし、ちゃらちゃら喋っている空気感は別に似てないんですけど、ふっと真剣に話すモードに変わった時や本当にちょっとしたたたずまいや纏っている雰囲気が同じな瞬間がありました。最期の船から飛び降りる時に3人にかける言葉が「マルロー、息子支えてくれてありがとな。」「カミュ、お前はもう赤い天使から解放されるべきだ。」「イッキ、……愛してるぜ。」最低限の言葉で3人に必要なものをポン、とおいていってくれたような、かっこいいおじさんでした。船からの落ち方が美しかったです。

 

レビュー

歌もダンスもファンサもすっごく上手なので、あまり期待していないとほざいた観劇前の自分を海に突き落とします。ソロもユニットも全部良かったです。キレッキレでした。パイフロのサビの空中をキックする振り付けが好きです。イッキの曲がコール多めなのが良かった。

BGMも含めて曲がとにかくいい。さすがエレガ。歌詞もいい。シャイニング事務所すごい。劇団シャイニングすごい。

 

インタビューでもありましたが、自分の人生にも当てはまるようなセリフが随所にあって、それでも重くなく、エネルギッシュで疾走感ある舞台でした。映画の段階から、一人の少年の成長物語としても、人の弱さに向き合う物語としても、諦めを知ってしまった大人が自分を重ねつつ純粋な心に戻れる物語としても素地がしっかりしているので2時間15分の舞台作品として十分成立し得るんですよね。それを脚本の伊勢さんが汲み取って膨らませ、キャストさんスタッフさんの力で昇華させていいものを作った!という気概が伝わってきます。娯楽作品の側面とメッセージ性が強い面のバランスがちょうどいいので、普段舞台を観ない層も、舞台オタクやってる層も満足できる大衆向け作品かと。あと、初代のキャストさんのツイッターと2代目のキャストさんのツイッターやインタビューの両方を一通り追いかけてみて思ったのが、どちらもキャストやスタッフの皆様が作品を愛してくださっていて(リップサービスかもしれないけど)作品を通して出来た成長や気づきを発信してくださるのが良いところですね。やっぱうたプリ楽しいな舞台っていいな。またイッキ達に会える日まで、ヨーホー!